1)航空機からの落下物の現状
(1)2017年9月7日 全日本空輸機が中国・厦門(アモイ)を出発し成田空港に到着した後の点検で、左の主翼の上にある非常用の脱出スライドが収納されているパネル(重さ約3Kg)が脱落した。同パネルが翌日の8日にも再び脱落した。
(2)2017年9月23日 KLMオランダ航空機が関西国際空港を離陸し上昇中に胴体のパネル(重量約4.3Kg)が脱落し、大阪市内を走行中の乗用車に衝突し損傷させた。
(3)2018年5月24日 日本航空機が熊本空港を離陸上昇中、左側エンジンに不具合が発生し、当該エンジンから飛散したとみられる金属片によって上益城郡益城町内の車両や建物の窓ガラスを損傷させた。
(4)2022年2月12日の報道によると、日本貨物航空B747型機が2月11日、上海空港を出発し成田空港に到着した後の点検で、左主翼のフラップ(高揚力装置)サポート フェアリングが無くなっていることが確認されました。
国交省成田空港事務所によると、落下した部品(合成樹脂製で長さ4m40cm、幅60cm,重量60kg)は成田空港A滑走路脇で翌日発見されました。
(5)国土交通省は、山添拓議員の要請に部品欠落件数を報告
多くの国際線が就航する国内7空港に離着陸する航空機からの部品欠落の発生個数が、直近2年間で1180個に上ることが2019年12月19日に明らかにしました。山添拓参院議員の求めに応じて、国土交通省が示しました。同省は2017年11月から、羽田、成田など7空港で外国の航空会社も含め部品欠落が確認された場合の報告制度を設けています。同省の説明では、17年11月から18年10月までの部品欠落の報告件数は399件、欠落個数は452個。18年11月から19年10月までは、それぞれ575件、728個で、合わせると2年間で974件、1180個に上ります。
2)日本航空 離陸直後にエンジン部品落下事故
2020年12月4日、沖縄の那覇空港発羽田行日航904便(ボーイング777型機)は離陸6分後左翼エンジンにトラブルが発生し、那覇空港に緊急着陸した。
着陸後の点検で、ファンブレード(チタニウム合金製、長さ約1m・重量12㎏)1枚が付け根から破損し、他の1枚も先端部が欠損。またファンカウル(合成樹脂製、畳約3枚分の大きさ・約115Kg)のパネル1枚も欠損しました。これは沖縄の海に沈んでいると思われます。
航空機の離陸時は、乗客・貨物のほか、燃料残量の重量が最も多く、かつ急上昇が求められます。その為、最大のエンジン出力を必要としエンジンにかかる負荷も最大となり、エンジンのトラブルに起因する落下物は離陸時に集中し発生することが知られています。
3)ユナイテッド航空エンジン火災で住宅地にエンジン部品落下
2021年2月20日、米国デンバー発ホノルル行のユナイテッド航空(B777型機)がデンバー空港を離陸した直後(4分後)、エンジン火災が発生し緊急着陸した。
FAA(米国家運輸安全委員会)の報告によると右主翼エンジンのファンブレード22枚のうち2枚が損傷し1枚が根元から欠落していた。現地メディアによるとコロラド州デンバー空港周辺の住宅地に複数のエンジン部品が落下した様です。写真は、エンジンの前部にあるインレット・カウル(アルミニューム合金)と呼ばれ直径約3メートル(重量320Kg)もある部品が住宅の庭先に落下した様子です。